大人のスーツ学とは?
ビジネス、プライベートにおいて、スーツを着こなすために最低限必要となる、
知っておいて損のない、基礎知識をお届けしています。大人のスーツ学を学ぶことで『正統派』と呼ばれるベーシックなスーツの着こなしを学ぶことができます。
前回は、シャツがジャケットより長く作られているのには、歴史の中でしっかりと実用的な理由があるということをお伝えしました!詳しくはこちらの『ジャケットの袖丈・カフス(ワイシャツの袖口)』をご覧ください。
そして今回は『パッと見OKたけど、実はNGなベストの着方・選び方』について書いております。
前回と同じようにベストの選び方のルールにもしっかりと納得の理由があります。
「ベストってカッコいいけどベストっていつ着るの?そもそもベストって何?」
という方もいると思うので、まずはベストの歴史からお話をしていきたいと思います。
ベストが誕生したのはいつ?どこではじまったの?ベストの歴史について…
17世紀のイギリスは、財政難に陥っていたようで、貴族の豪華な服装を改ためさせる為に、国王、チャールズ2世が1666年に出した「衣服改革宣言」が始まりのようです。
国王が豪華になり過ぎる服装を統一するために打ち出したベスト付きのスリーピース(ジャケット・ベスト・パンツ)が、今でもイギリスのブリティッシュスタイルの基本として親しまれています。
つまり、ベストはもともとジャケットとワイシャツの間に着用する中衣だったんです。ワイシャツはイギリスでは「アンダーウェア」と呼ばれて、その名の通り「下着」なのでジャケットを脱ぐと下着になり失礼に当たります。ベストを着ることで、ジャケットを脱いで下着になるというマナー違反を解消していということになります。
そして、ベストを思い出してみてください。
最大の特徴は袖がないことですよね?
実は始めの頃は袖付きだったんです。
では、いつ頃から、今の袖のないベストの形になったのでしょう?
答えは、18世紀、今から約200年前になります。日本はまだ江戸時代。
この頃、ジャケットの袖がタイトになったとこからベストの袖が無くなり、今のベストの原形になったのです。
今回のポイント!ベスト選びはサイズで決まる!
ベストなフィット感がポイント。
スリーピースをカッコよく着こなすコツは?
○ ジャケットを羽織った時にももたつきがなく、適度なゆとりがあり、体に添うくらいのフィット感がベスト。
× ジャケット同様細身が流行だからと言って小さ過ぎるのはNG!!
ベストはジャケットに比べて体にフィットしているので、ジャケット選びに比べてサイズの選び方がかなり重要になります。カッコ良く着こなす為に見るべきポイントは?
ウエストまわり:ここがしっかりとフィットするだけでかなりカッコ良く見えます。フロントボタンが浮いていないか?座った時にボタンの周りに不自然なシワがないか?この2つはチェックしてみてください。
袖まわり:実はベストのアームホールは既製品とオーダースーツの見分けがつきやすいポイントのです。既製品は誰にでも合うようにアームホールが大きめに作ってある事が多いですので、背中側に大きな隙間が空いてしまう事があります。なので横から見たときに背中が浮いて見えてカッコ悪いのです。
試着の時は前だけでなく側面も確認してみてください。
日常生活でも横に並んで歩く事も多いと思うので意外に見られるポイントになります!
もともとはスーツはスリーピースが基本。
ジャケット・ベスト・パンツが繋がって見えてるのが美しい。
× ベルトが見えるのは基本NG!
× ネクタイの剣先が見えるとだらしない印象を与えてしまうので注意!
ベストのサイズ感で一番大切なのは丈の長さです。はじめにも書いたようにもともとスーツはスリーピースが基本で出来上がったものなので、隙間なく全体が繋がって見えた方が美しいです。また大きなバックルのベルトを着けているとバックルの部分が膨らんで見えて以外と目立つので、小さなバックルの方が美しいですね。
VEST(ベスト)こそオーダーがBEST!
ベタなタイトルをつけてしまいましたが…
ベストはオーダーした方がお得でカッコ良く仕上がるようです。
ここ最近はツーピース(ジャケット・パンツ)の方も多いですが、服飾は歴史と共に変化していくものなので、決して間違えではないようです。個人的にはスリーピースの方が仕立て栄えしますし、気軽にドレスアップ出来るのでスリーピース派です。スーツをオーダーする時はいつもベストも一緒に仕立ててもらっています。
1、スリーピースのベストは意外と安い!
オーダースーツを作る時にカッティングの関係で、仕立て代に少し生地代を追加するだけで完成します。
気軽にプロのテーラーさんに相談してみてください。
2、既製品のライナップは少ないからこそ、オーダーで似合うベストを見つけよう!
既製品のラインナップはとにかく種類が少ない。
先ほど、書いたように、ベストはサイズ感が一番大切になってきます。ですが、種類が少ないので、なかなか自分の好みのデザイン、そして、自分のサイズに合うベストに出会えないというのが現状になります。
「スリーピースにチャレンジしてみよう!」と、お店で購入を検討したことがある方のお話を伺うと、このベストのサイズが合わないという経験がある方も多いようです。
今回もスーツの基礎知識とちょっとした歴史的理由も併せて書いて見ました。前回と同じようにスーツの着こなしのルールは理由を一度知ってしまえば恥ずかしい間違えをする機会がなくなります。
今回のベストに関してはパッと見はわかりづらいサイズ感で周囲と差が出ます。
今日のポイントを押さえて、周りの人にはすぐには理由がわからない。
ただベストを着ても同じようにはならない。「なぜかカッコいいベスト姿」を作ってみてください。
オーダースーツ研究所は、あなたの魅力を引き出すスーツに出会える事を願っています!